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ワシントンDC – 環境キャンペーン組織マイティアースの新しい報告書は、環境問題を憂慮する世界中の何千人もの旅行者が、日本の旅行大手H.I.S.インターナショナルに対する不買運動への賛同を表明したと述べています。この報告書は、日本で2番目に大きい旅行会社と、気候に不可欠な熱帯雨林を脅かし、絶滅危惧種のオランウータンの生息地を破壊する東南アジアの環境破壊との間の意外ながら明確な繋がりに対する消費者の抗議の声を伝えています。これらの最新の消費者行動は、大気を汚染する発電事業への進出のために衆目にさらされているH.I.S.に焦点を当てた市民運動の高まりの一環です。
報告書「Think Twice About Traveling with Forest Destroyer H.I.S.」は、最近のキャンペーンをハイライトし、事業ポートフォリオにエネルギー生産を加えようとする同社の取り組みを伝え、同社が宮城県角田市で建設中のパーム油を燃焼する発電所が生態系の破壊の推進力になりかねないことを指摘しています。
「パーム油産業は、毎年約25万エーカー(約10万ヘクタール)の森林破壊を引き起こしています。パーム油プランテーションの野放図な拡大は、貴重な熱帯雨林を破壊し、絶滅危惧種のオランウータンの生存を脅かし、気候変動を悪化させます」と、マイティアースの副代表ローズ・ガーは述べています。「H.I.S.の発電所は、毎年70,000トン以上のパーム油を輸入する必要があり、これらの傾向に拍車をかけるでしょう。そのパーム油が調達基準の対象であったとしても、真に持続可能なパーム油の供給は非常に限られています。 それを燃料として燃やすことは非常に無駄なことです。世界中で市民の抗議が見られたのはそのためです。」
H.I.S.は、ロボットが常駐するホテルや昔のオランダを再現した長崎のテーマパークなど、独特な目的地を訪れるために日本に観光客を連れてくる国際的な旅行会社です。しかし、2017年にH.I.S.は 新事業に参入し、日本の消費者に格安の電力を販売するためにH.I.S.SUPER電力を設立しました。電力の仲介業者でいることに飽き足らず、 H.I.S.SUPER電力は、オランダをテーマにした遊園地にソーラーパネルを設置するだけでなく、大量のパーム油を燃焼する大規模な発電所にも投資して、独自の発電所を建設し始めました。
日本の環境保護団体は 同プロジェクトに対する憂慮の念を伝え、2019年2月に同社社長とも面談しました。2019年7月、世界中の約20万人の消費者がH.I.S.にこの発電所建設計画を廃棄し、パーム油事業から撤退して森林を保護するよう要求しました。しかしH.I.S. 経営陣は請願を受け入れることを拒否し、発電所の建設を進めました。
H.I.S.が反応しなかったことは、さらなる国際キャンペーンの引き金となりました。 国際的なNGO連合は、米国、ヨーロッパ、オーストラリアの主要なH.I.S.の支社に対して、発電所プロジェクトに関する懸念を再度表明する手紙を送りました。NGOは同様の手紙をH.I.S.の主要な投資家にも送りました。今週、複数のプラットフォームでデジタル広告も展開されています。 最近のキャンペーンの結果、旅行に頻繁にでかける多くの人々を含め、さらに7,200人がパーム油発電への関与をH.I.S.がやめるまで、同社の旅行の申し込みとホテルの宿泊をしないことを誓約しました。H.I.S.は、これまでのところ、消費者の抗議に直面しても沈黙を守っており、新型コロナウィルス感染症拡大による遅延が発生したものの、発電所は今後数週間で運転を開始する可能性があります。
「パンデミックの最悪の時期が過ぎたと期待されるので、これまで鬱積していた旅行の需要が急増するでしょう」とGarrは述べました。「来年オリンピックが開催されれば、海外からの旅行者が日本に集まるでしょう。しかし、アメリカ人、オーストラリア人、ヨーロッパ人は、熱帯雨林の破壊を推進している会社の旅行に申し込んだり、そのホテルに滞在したりすることを望んでいません。」
「現在のパンデミックに代表されるリスクと日本の国内旅行の減少のため、エネルギー事業による多角化を図りたいというH.I.S.の意向も理解できます。しかし、そのパーム油発電の新規事業は短絡的であり、コアビジネスを脅かす消費者の反発を生み出すリスクがあります。H.I.S.には、まだ、パーム油火力発電計画をやめ、代わりに太陽光発電や日本で伸び始めている風力発電市場に投資するという正しい選択をするチャンスがあります。」
以上