新報告書 『住友商事が引き起こす環境破壊 :石炭とバイオマスが影を落とす日本の未来』

Sydney Jones

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新報告書『住友商事が引き起こす環境破壊 :石炭とバイオマスが影を落とす日本の未来』

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国際社会がマドリードにおいて、気候変動との戦いを今後どう進めていくか議論している  最中、石炭や木質バイオマスといった汚く間違ったエネルギーを推進し投資する大手企業が、日本の政策によって力を強めているということが明るみになりました。マイティー・アースの最新報告書『住友商事が引き起こす環境破壊:石炭とバイオマスが影を落とす日本の未来』は、東京に本社を置く大手総合商社が、いかに世界規模の石炭やバイオマスのネットワークの中心に位置取り、地球上で最も有害な燃料の採掘、伐採、資金調達、輸送、燃焼に携わっているかを鮮明に描いています。米国南東部からカナダのブリティッシュコロンビア州そしてベトナムまで、住友商事は日本の発電事業のために世界の森林を危機に陥れています。

「住友商事は、国内外において日本の気候変動に対する姿勢を逆行させています。」

マイティー・アース 日本プロジェクト統括マネージャーのロジャー・スミス氏は続けます。

「各国がさらなる炭素排出量削減を検討している中で、日本の住友商事は最も有害な燃料に投資することで問題を助長しているのです。」

マイティー・アースは、住友商事に、森林保護政策であるNDPE (No Deforestation, No Peat, No Exploitation = 森林伐採をやめること、泥炭地開発をなくすこと、搾取をやめること)を方針として適用し、実行するよう呼び掛けています。また、2030年までに全ての火力発電と石炭採掘から手を引く、と公約するよう求めています。

反省の色がない汚染の犯人– 住友商事の石炭事業 

住友商事は、日本の石炭輸入において極めて重要な役割を担っています。国際社会において、気候危機が益々トップ記事で掲載される現在、日本はG7諸国において、未だに自国で石炭火力発電所を新設しようとしている唯一の国です。そして、この流れの中心にいる住友商事は、炭鉱を所有し投資を続け、毎年に日本に600万トンもの石炭を供給しているのです。

また住友商事は、汚染をもたらす石炭火力発電所の建設を、海外においても最前線でけん引しています。住友商事は現在、環境を汚染する火力発電所をベトナム、インドネシア、そしてバングラデッシュで新規建設しています。住友商事が関わっている石炭火力発電所の一つ、ベトナムのバンフォン1発電所は、特に物議を醸しています。というのも、この建設によってこの発電所が稼働することになれば、およそ1,900人の早死につながるという研究報告があるからです。

「再生可能エネルギーの普及が遅れる日本市場の中でも、他の企業に比べ、住友商事は立ち遅れています。ポリシーの大きな抜け穴により住友商事はいくらでも石炭火力発電事業に融資をすることが可能です。日本で新設される石炭火力発電所に比べて9倍汚染が高いとされるベトナム・バンフォン1石炭火力発電所へ融資を行っています。さらに、現在バングラデシュで1200MWの石炭火力発電所2つに出資し、石炭火力発電の広大を進めています。」とマーケットフォース代表ジュリアン・ビンセント氏は言います。

「パリ協定の目標を果たすのには石炭火力事業の新設は一切出来ないと科学者が同意する中、2019年に石炭火力発電所を新設するのは無謀です。国際投資家が石炭事業は資産価値が下がるものと考え、資産を石炭から移動している時、なぜ住友商事はリスクの高い投資を継続しているのか問われるでしょう。」

燃料欲しさに森林破壊 – 住友商事のバイオマス事業

日本で急速に増加している木質バイオマス消費は「危機製造マシーン」さながらです。2014年から2017年にかけて、発電用に日本に輸入された木質ペレットの量は5倍に増え、日本は一躍世界の木質バイオマス消費国の大国に躍り出ました。大気中の炭素を貯蔵する森林を守ることは気候危機との戦いにおいて重要なことであり、バイオマスのために伐採を続け、天然林が劣化することは、結果として、森林を炭素貯蔵量の少ないプランテーション(木の畑)に貶めることになります。しかも、伐採、加工処理し、日本へ海上輸送するのに、莫大な化石燃料を燃焼しています。

住友商事は、発電用木質ペレットとウッドチップを輸入している日本企業の最大手です。現在日本の木質ペレット輸入シェアの55%を住友商事が占め、2021年までにはバイオマス燃料全般で40%(1,600万トン)の輸入シェア獲得を目指しています。

2017年、住友商事がカナダのパシフィック・バイオエナジー・コーポレーションの株式を48%

取得したことにより、ブリティッシュコロンビア州の繊細な北方林の伐採が加速することへの懸念が広がっています。

また、住友商事はエンビバ・パートナーズと木質ペレット取引の契約を結んでいます。エンビバ・パートナーズは米国南東部の絶滅の危機にさらされている森林伐採に関わっています。ノースカロライナ州など米国南東部の州では以前から深刻な景観悪化が進行していましたが、他国からの木質ペレット需要の高まりがさらにその状況に拍車をかけています。

「米国南部の森林は地域社会にとって重要なだけでなく、世界で最も生物多様性に富んだ温帯林でもあるのです。」ドッグウッド アライアンスのキャンペーンディレクター、リタ・フロスト氏は訴えます。「ここの森林は現在、エンビバ社のけん引する木質ペレット産業による大きな伐採の脅威にさらされています。エンビバ社の伐採は住友商事などの海外企業によって促進されています。このままでは、私たちの森はさらに劣化し失われることになります。私たち米国南部から住友商事へ求めます – 輸入木質ペレットを使用するのをやめてください – 私たちの森は燃料ではないのです。」

気候変動対策に出遅れた住友商事

2019年8月に住友商事は「統合報告書2019」を発表しましたが、それは圧倒的に不十分なものでした。石炭火力発電所の新規開発を行わないと宣言したにも関わらず、紛れもない抜け穴を用意し、「不可欠」という判断を下した発電所に関しては、バンフォン1計画のように堂々と進めています。また、この方針は石炭火力発電所と石炭採掘から離脱する計画やそのスケジュール感に欠けています。

住友商事にとって、気候変動を緩和することと、石炭火力発電所の拡大の両方にコミットすることは不可能です。

「(しかし)住友商事が真のクリーンエネルギーを開発し、“気候のトップランナー”になる絶好の機会でもあるのです。」前述のスミス氏は言います。「気候変動が世界全体を危機に陥れている中、私たちは住友商事のような企業に解決策を講じてもらうことを願っています。言葉だけではなく、行動で示すことが大切です。」

マイティ・アースは住友商事に対し2020年の年次総会までに、石炭火力発電と炭鉱採掘からの離脱への詳細な実行計画を作成することを呼び掛けています。そして、森林から得る燃料としての木質バイオマスをやめ、「No Deforestation, No Exploitation = 森林伐採をやめること、搾取をやめること」を広く企業として適用し、真にクリーンな再生可能エネルギーに投資を移すことを求めます。

マイティ・アース(MIGHTY EARTH)について

マイティ・アースは、土地、海洋、気候を守るために活動する世界的なキャンペーン団体である。目指すのは、世界で最も効果的な環境団体である。森林破壊と人権侵害をサプライチェーンから排除する方針を採用するように世界大手の食品会社と農業法人を説得する上で主導的な役割を果たし、クリーンエネルギーに数十億ドル規模の資金の移転を行うよう推進してきた。国際的に変化を訴えたり、あるいは地元レベルで呼びかけをし、環境保護の動きを盛り上げている。

www.mightyearth.org

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