重工業の脱炭素化に向けた世界的な枠組み原則

Sydney Jones

Press Secretary

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Carole Mitchell

Global Communications Director

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新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こり、世界の主要な経済大国(EU、中国、日本、インド、北米)は、パリ協定の目標の達成や永久的な気候崩壊の回避のために世界の工業経済を変革・再考する重要なチャンスを得ました。日本や中国をはじめとする国々は、緊急性を認識し、二酸化炭素排出量を実質ゼロとする目標を掲げました。しかし現時点では、コロナ禍からの復興対策で自国の重工業の低炭素化を実現しようと本気で取り組んでいる政治家は多くありません。また、途上国では重工業の存在感が増しており、そうした中で脱炭素化の取り組みを進める際には、グローバル・ノースとグローバル・サウス間の過去の排出に対する責任と受ける影響の重みのアンバランスにも対処しなければなりません。

主要な市民社会組織は、工業の脱炭素化を求めて活動しています。この度、これらの組織が互いに連携し、主要経済国が経済成長の促進と1.5℃排出経路に向けた軌道修正を同時に実現するにはどうすれば良いかを示したシンプルな枠組みを作成しました。以下に示すこの枠組みの原則はどれも、鉄鋼やセメント、化学などの重工業の脱炭素化を成功させるために不可欠な手段となるものであり、政策立案者はこれらを導入し、また企業はこれらに賛同することができます。

この枠組みを取り入れ、大量の排出をもたらす非効率な産業資本形式の存続を避けるには、今が最も重要な時です。世界各国のリーダーは、短期的に「すぐに実行できる」政策や制度、製品に多額の投資を行うことで、これらの原則を実践しはじめる必要があります。また、産業全体の行動を促すために、互いに協力しながら一体となって取り組みを進めることも求められます。それにより、持続可能で公正かつ健全な産業の未来に向けた「頂点への競争」を生み出せるでしょう。

全体的なビジョン:気温上昇の1.5℃経路に沿うように、重工業の脱炭素化を緊急に加速し、規模を拡大する。

枠組み原則1

企業の温室効果ガス排出量削減目標や1.5℃経路に沿った計画に基づく重要な施策に重工業向けの公的資金を充てることにより、真の「グリーンリカバリー」を確実に実現する。

枠組み原則2

産業変革においては、政策や出資制度の策定と強化を通じて、生物多様性と人々の健康を守り、かつ公平な移行を確実に進める。

枠組み原則3

低炭素、循環型かつ資源を効率的に利用した原材料への需要を生み出すための政策を策定する。その補助策として、ライフサイクル全体のカーボン・フットプリントを示す標準ラベルや最終製品(建物など)の性能に対する奨励策を活用し、バリューチェーン全体を巻き込む。

枠組み原則4

1.5℃経路に整合する科学的な気候目標を期限付きで定め、それを公表する重工業企業を奨励する資金補助政策や手法を大規模に策定し、実行する。

枠組み原則5

工業生産や短期的な二酸化炭素回収において、水素などの革新的な技術をはじめとする低炭素・ゼロカーボン技術の開発や利用を促進するための資金提供や投資を優先的に進め、化石燃料使用からの脱却を促進する。

枠組み原則6

国や地域間の連携や排出量算定の有効性を確保する。例えば、影響力のある新たな技術の共有や、実現性の高いサーキュラーエコノミーへの道筋、特に深刻な汚染をもたらす技術の廃止、国家間での排出移転(「炭素リーケージ」)削減に向けた適応性の高い排出権取引制度の実行など。

欧州や中国、日本、インド、北米では、今後数カ月にわたり、コロナ禍からの復興と気候政策に関する検討が行われます。そこで私たちは、政治界やビジネス界を率いる皆さまに、重工業の脱炭素化に向けた具体的な計画を策定するにあたり上記の枠組み原則への賛同と支持を求めます。そうすれば、気温上昇を1.5℃未満に抑える試みにおいて、それぞれの取り組みの歩調を合わせつつ全体としての成功を実現することができるのです。

重工業の脱炭素化に向けた上記の枠組み原則に正式に賛同している組織は、このページに載せてあります。

The Climate Group
Mighty Earth

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